売却・査定

西尾市の家・土地を売る前に確認したい越境、枝・塀・配管の扱い方

2026/10/19 公開 石川 智士

お隣の塀や配管がこちらに出ている、自宅の庇や枝がお隣に出ている。西尾市で家や土地を売る前に、越境の見つけ方、民法233条の枝と根の扱い、不動産会社への伝え方、隣地との覚書を交わすまでの進め方を整理します。

売る前に敷地を歩いてみると、お隣のブロック塀の根元がこちら側にはみ出して見える。反対に、自宅の庇や庭木の枝がお隣の敷地に伸びている。そんな場面で、このまま売れるのだろうかと手が止まる方は少なくありません。

越境があっても、状況をつかんで買主に伝え、必要なら隣地の所有者と書面を交わしてから進める方法があります。買主がどう受け止め、価格や条件にどう響くかは物件ごとに違い、一律には言えません。ここでは、越境を見つけてから売買で扱うまでの流れを整理します。

越境は、お隣からとこちらからの両方を書き出す

越境には二つの向きがあります。お隣の物がこちらの敷地に出ている場合と、こちらの物がお隣の敷地に出ている場合です。売る側は後者を見落としやすく、自分の物がはみ出していても普段は気づきません。次の4つを目安に、敷地を一周してみてください。

  • ブロック塀、フェンス、擁壁、側溝などの工作物
  • 屋根の庇や雨どいなど、建物の張り出し
  • 庭木や竹の枝と根
  • 地面の下を通る排水管、水道管、ガス管

塀については、境界線上に設けた境界標や塀、溝などは隣り合う土地の所有者の共有と推定する、と民法229条が定めています。あくまで推定なので、誰が造った誰の物かは、設置の経緯で変わる可能性があります。境界線の上に見えても、どちらの物か決めつけないでください。

地面の下の配管は、見ただけでは分かりません。西尾市では、上下水道営業課が給水台帳に関することや、排水設備の工事の確認と検査を担当しています。図面を見られるかどうかは市の公式サイトで確認できなかったので、住所を伝えてお客様窓口(0563-57-1212)に尋ねるのが確実です。境界そのものがはっきりしないときは、越境を考える前にそちらの確認が先になります。

樹木の枝と根には、民法233条のルールがある

越境のうち、条文がはっきりしているのは樹木です。民法233条では、お隣の木の枝が境界線を越えているとき、土地の所有者はその木の所有者に枝を切らせることができます。自分で切ってよいのではなく、まず所有者に切ってもらうのが原則です。

令和5年4月1日に施行された改正で、次のいずれかの場合は、越境された側が自分で枝を切り取れるようになりました。

  • 木の所有者に切るよう催告したのに、相当の期間内に切らないとき
  • 木の所有者が誰か分からない、または所在が分からないとき
  • 急迫の事情があるとき

法務省の資料は、「相当の期間」を事案によるが基本的には2週間程度と考えられる、と説明しています。自分で切った費用は、基本的に木の所有者に請求できると考えられる、とも書かれています。根は、境界線を越えていれば自分で切り取れます。逆に自宅の庭木がお隣に出ているなら、売り出す前に一声かけて枝を整える手もあります。

ただし、233条が扱うのは竹木の枝と根だけです。塀、庇、配管は、この条文を根拠に勝手に壊したり切ったりしないでください。お隣の木の持ち主が分からないときは、西尾市の案内では、市は土地の所有者を答えられず、名古屋法務局西尾支局(0563-57-2622)に問い合わせるとされています。

塀・庇・配管は、直す前に記録して不動産会社に伝える

塀や庇が本当に越境しているかは、境界の位置を確かめたうえで測らないと分かりません。疑わしい物を見つけたら、壊したり動かしたりする前に、位置と大きさの分かる写真を撮り、手元の図面や工事の記録を探します。いつ誰が造ったかが分かると、後でお隣と話す手がかりになります。

配管には、民法213条の2があります。電気、ガス、水道水などの供給を受けるために他の土地へ設備を置く必要がある土地の所有者は、必要な範囲で設備を設置できます。場所と方法は他の土地の損害が最も少ないものを選び、設置する側は事前に通知します。ただ、この規定があることと、今ある古い配管にどう当てはまるかは別です。通された時期や経緯で扱いが変わりうるので、弁護士、司法書士、土地家屋調査士に確認してください。

見つけた越境は、不動産会社に伝えます。宅地建物取引業法47条は、不動産会社が、取引の相手方の判断に重要な影響を及ぼす事項について、故意に事実を告げないことを禁じています。越境がこれに当たるかは事情によりますが、売主が知っていることを伝えていなければ、買主に説明する材料が足りなくなります。

覚書は、隣地の所有者と内容をすり合わせてから交わす

越境している物をすぐ撤去できないときは、隣地の所有者と書面を交わす方法があります。一般に覚書と呼ばれ、どの物がどの位置で越境しているかを双方が確認し、今後の扱いを書き残すものです。決まった書式があるとは限らず、内容は事案ごとに変わります。

例えば、越境物の位置を図面や写真で特定すること、現状のまま使い続けるのか、建て替えや撤去のときはどうするのか、持ち主が代わっても引き継ぐのか。こうした点を書くかどうかを専門家と相談して決めます。作成や立会いの費用は依頼先で異なるので、見積もりで確かめてください。

話がまとまらないときは、西尾市の案内によると、土地の管理をめぐる問題は原則として民事上の紛争で、民事訴訟のほかに民事調停という方法があります。市には、相隣関係を含む市民法律相談もあります。予約制で市内在住の方が対象、1回30分以内、同じ年度に2回までです。予約は毎月16日午前9時から翌月分を受け付けており、窓口は市民課旅券担当(0563-65-2198)です。遠方にお住まいなら、対象外の可能性があります。

西尾市で売却を考えているなら、まず敷地を一周して、こちらから出ている物とお隣から出ている物を写真つきで書き出し、不動産会社に見せてください。

参考資料

制度・窓口情報は2026年10月12日時点で確認しています。個別の手続きは担当窓口や専門家にご確認ください。

この記事を書いた人

石川 智士

株式会社JA.life 代表取締役/宅地建物取引士・空き家マイスター・2級FP技能士

愛知県西尾市の株式会社JA.life 代表取締役。宅地建物取引業免許 愛知県知事(1)第25912号。 西尾市・三河エリアを中心に、不動産の売買仲介、買取、賃貸管理、空家・空地の管理を行っています。

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