売却・査定

西尾市の売却前に確認したい水害ハザードマップと説明義務

2026/10/17 公開 石川 智士

西尾市で家や土地を売る前に、水害ハザードマップで何を確認するかを整理します。2020年8月に義務化された説明の内容、市と国の入手先、色の見方、不動産会社に事前に伝えておきたい点まで順に解説します。売主が先に知っておくと安心です。

売却の準備を始めて西尾市のハザードマップを開いたら、売ろうとしている家のあたりに色が付いていた。これでは買い手がつかないのではないかと不安になり、そこで画面を閉じてしまうことがあります。

ただ、地図の色だけで売れるかどうか、価格がいくら変わるかが決まると書いた国や市の資料は、今回確認した範囲に見当たりません。国が求めているのは、買主が契約を判断する前に、地図上の物件の位置を説明することです。売主が先に内容を知っておけば、その説明の場でも慌てずに済みます。

水害ハザードマップ上の所在地の説明は、2020年8月28日から義務になっています

国土交通省は宅地建物取引業法施行規則を改正し、重要事項説明の項目に「水害ハザードマップにおける取引対象物件の所在地」を加えました。改正命令の附則は、施行日を令和2年8月28日と定めています。国土交通省は改正の理由を、大規模な水災害が相次ぎ、水害リスクの情報が契約を決める上で重要な要素になっているためと説明しています。

この説明を義務づけられているのは、仲介する宅地建物取引業者です。対象は、水防法に基づいて市町村が提供する洪水・雨水出水(内水)・高潮のハザードマップで、業者はマップを示しながら物件のおおよその位置を指し示します。地番まで正確に示す必要はなく、概ねの位置で足りるとされています。

物件が浸水想定区域の外にある場合も、位置は示します。区域外だから水害のリスクがない、と相手が思い込まないようにする配慮も求められます。ため池ハザードマップのように水防法以外に基づくマップまでは、説明の対象外だとQ&Aにあります。

売り出す前に自分で開いておきたいのは、西尾市のマップと国のサイトです

西尾市の「ハザードマップ」のページには、日本語版で津波(標高マップを含む)、洪水、内水、土砂災害、ため池、高潮の6種類が並んでいます。ため池を除く5種類には多言語版もあります。

洪水ハザードマップは、市役所や各支所の窓口で受け取れるほか、地区ごとのPDFをダウンロードできます。内水ハザードマップは、本庁舎2階の危機管理課と水道庁舎3階の下水道整備課の窓口、およびPDFで入手できます。洪水マップは令和3年3月に作成したと市のページにありますが、内水マップのページは2026年4月の更新です。マップごとに時期が違います。見た版の時期をメモしておくと、不動産会社との確認が早く済みます。

国土交通省と国土地理院のハザードマップポータルサイトでは、「重ねるハザードマップ」で、住所から洪水、土砂災害、高潮、津波のリスクを調べられます。「わがまちハザードマップ」からは、市町村が公開したマップへ移動できます。ただし同サイトのFAQは、重要事項説明では重ねるハザードマップを水防法の水害ハザードマップとして使わず、市町村が作成したものを使うよう案内しています。全体像は国のサイトで見て、不動産会社との確認には市のマップを使う、と分けると混乱しません。

色の見方で押さえたいのは3点あります

  • 洪水マップは、国が定める最大規模の降雨が前提です。愛知県の最大規模は約1,000年に1回の確率の雨とされ、堤防が決壊する箇所を複数想定した結果を重ねて、最も深くなる浸水深を色分けしています。
  • 色は浸水深の区分です。国のサイトでは、地盤高からの深さを6段階か8段階のランクで表示します。具体的な数値は、河川管理者や「浸水ナビ」で確認できます。
  • 色が付いていない場所も、安全とは限りません。西尾市のマップには、想定以上の雨や排水不良があれば、色のない地区でも浸水の可能性があると注記されています。

約1,000年に1回といっても、1,000年に1度しか起きないわけではありません。国土交通省のFAQは、年超過確率1/100の洪水を例に、これは100年に1回起きるという意味ではなく、毎年1%の確率で起きうるという意味だと説明しています。100年の間に複数回起きることも、一度も起きないこともあります。

内水マップは、下水道計画区域(主に市街化区域と、そこへ流入する区域)だけをシミュレーションの対象にしています。マップに載っていない地区は、対象外というだけで、浸水しないという意味ではありません。洪水マップの浸水実績も大まかな範囲を示すもので、個々の土地の浸水の有無や深さを示すものではないとされています。

地図の色の境目にある土地は、拡大して見るほど判断が難しくなります。国のFAQには、隣り合う土地で地盤高がほぼ同じでも、浸水深が2m以上違って表示される場合があるとあります。境目の位置は自分で決めつけず、市の担当課や不動産会社に確認してください。

不動産会社には、売り出す前に4つのことを伝えておきます

  • 自分で見たマップの種類と、物件の位置にどんな表示があったか
  • 過去の浸水や道路の冠水で、自分が知っていること(いつ頃、どの程度か。分からないときは分からないと伝える)
  • 水が入ったあとに直した場所と、その工事の書類や写真
  • マップを見て読み取れなかった箇所や、疑問に思った点

マップの詳しい内容は、作成した市に聞くのが確実です。西尾市の宅建業者向けページによると、所管課は種類ごとに分かれ、洪水・高潮・土砂災害は河川港湾課、津波は危機管理課、内水は下水道整備課、ため池は農地整備課です。

聞かれてから答えるより、売り出す前に伝えておくほうが、不動産会社は販売資料と買主への説明の段取りを組みやすくなります。価格や売り出し時期への影響をどう考えるかは、物件ごとに相談して決める事柄です。まずは、売る物件のある地区の洪水ハザードマップのPDFを開き、物件の位置に印を付けてみてください。

参考資料

制度・窓口情報は2026年10月12日時点で確認しています。個別の手続きは担当窓口や専門家にご確認ください。

この記事を書いた人

石川 智士

株式会社JA.life 代表取締役/宅地建物取引士・空き家マイスター・2級FP技能士

愛知県西尾市の株式会社JA.life 代表取締役。宅地建物取引業免許 愛知県知事(1)第25912号。 西尾市・三河エリアを中心に、不動産の売買仲介、買取、賃貸管理、空家・空地の管理を行っています。

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