兄は売りたい。弟は、安くなるくらいなら残したい。西尾市にある実家を兄弟で共有している場合、最初から売却の賛否だけを聞いても、話が進まないことがあります。
まず、誰の名義で、何割ずつ持っているかを確認します。そのうえで、売れる価格の見込みと費用を同じ資料で見比べる。希望額の違いなのか、家を残したい気持ちなのかを分けて話せます。
共有名義のままでも、全員で家を売れます
家と土地の全体を通常の売買で売るには、原則として共有者全員の同意と手続きへの協力が必要です。持分が多い人だけで決めることはできません。必ず誰か1人の名義に移してから売らなければならない、ということでもありません。
ここで扱うのは不動産全体の売却です。自分の持分だけを譲る取引は、残る共有者にとって共有相手が変わる別の話になります。「自分の分だけ売れば、実家の問題はすべて片付く」とは考えず、家全体をどうするかから整理してください。
民法には、共有者の所在が分からない場合などの裁判手続きもあります。連絡がつかないことを同意と扱う制度ではありません。通常の話し合いで解決できない場合は、弁護士への相談が先になります。法令の参照先は民法第251条・第262条の3です。
最初の確認は、家と土地それぞれの名義です
「兄弟で半分ずつのはず」という認識だけで進めず、登記事項証明書で所有者と持分を確認します。建物と土地で名義が違うことも、敷地が複数の土地に分かれていることもあります。固定資産税の納税通知書を受け取っている人だけが所有者とは限りません。
親の名義のままで遺産分割も済んでいないなら、登記と売却の順番を司法書士などに相談してください。すでに兄弟の共有名義になっている場合とは準備が異なります。期限については相続登記の期限と手続きをご覧ください。
家を使用している人や借りている人がいる場合は、その状況も共有します。空き家という前提の査定や引渡し時期を、後から修正することにならないようにするためです。
金額・費用・連絡の決め方を、1枚にまとめます
全員が売る方向を向いていても、片付け費用を誰が立て替えるか、値下げの相談をどう回すかで止まることがあります。次の内容を同じメモに残しておくと、不動産会社にも条件を伝えやすくなります。
話し合うこと | 書いておく内容 |
|---|---|
売出価格と変更 | 最初の希望額、買付けや価格変更の提案を全員に確認する方法 |
売却までの費用 | 片付け・測量などを発注する前の承認方法、立替者と精算方法 |
代金の受取り | 持分と受取額、立替金を精算する資料、各人の受取口座 |
日程と連絡 | 引渡し希望時期、代表連絡先、契約・登記への参加方法 |
連絡窓口を兄1人に任せることと、売買契約を代理する権限を渡すことは別です。遠方の共有者がいる場合も、代理の範囲や本人確認、登記書類を早めに確認します。「当日来られないから印鑑だけ預ける」という進め方にはしないでください。
売却代金の分け方は、立替費用と分けて確認します
たとえば持分が2分の1ずつでも、一方が修繕や片付け代を支払っているかもしれません。売却代金の配分と、合意した立替金の精算を分けて書き、請求書や領収書を残します。持分と異なる配分には贈与税などの検討が必要になる場合があるため、その場の口約束で金額を変えず税理士に確認してください。
査定は、全員が売却に同意するための材料の一つです。売りたくない人を説得する結論として使うより、現状で売る場合の価格、売却までの支出、保有を続ける負担を並べてみましょう。まず登記の資料を1組そろえ、共有者全員が同じ内容を見られるところから始めてください。


