自宅を売って利益が出ると、所得税と住民税がかかります。ただ、居住用の財産には、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例があります。国税庁は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と呼んでいます。
使えるかどうかは、いつまでに売るか、誰に売るか、過去にどの特例を使ったかで決まります。契約後に気づいても動かせない条件が多いので、売り出す前に確かめる順で整理します。相続した空き家の特例は別の制度です(国税庁No.3306)。要件が違うので、そちらは相続空き家の3,000万円控除の記事をご覧ください。
対象は、住んでいる家と、住まなくなって3年目の年末までの家です
国税庁のタックスアンサー No.3302によると、売る資産は次のいずれかに当たる必要があります。
- 現に自分が住んでいる家屋
- 以前に住んでいた家屋(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合)
- 上の家屋とともに売る敷地や借地権
- 上の家屋を取り壊した後の敷地(取壊しから1年以内に譲渡契約を結び、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る。取壊し後から契約日まで貸駐車場などにしていないこと)
たとえば2026年3月に転居したなら、3年を経過する日は2029年3月で、期限は2029年12月31日です。どの日を売った日として扱うかは、契約前に税務署で確認してください。
国税庁は、その家屋を住まなくなった日以後どのような用途に使用してもかまわないと案内しています。転居後に貸していても、期限内なら対象です。相続空き家の特例にある、相続から譲渡まで貸付けなどに使っていないことという条件は、この制度の要件には載っていません。
買主と過去の特例の使用で、使えなくなる場合があります
同じ No.3302 には、家屋や敷地の条件のほかに、次の要件があります。
確認すること | 国税庁の案内 |
|---|---|
売る相手 | 親子や夫婦など「特別の関係がある人」でないこと。生計を一にする親族、売った後その家で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人も含まれる |
前年・前々年 | 売った年の前年と前々年に、この特例またはマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を受けていないこと(例外の記載あり) |
買換えの特例 | 売った年、前年、前々年に、買換えや交換の特例を受けていないこと |
他の特例 | 収用等の場合の特別控除など、ほかの特例を受けていないこと |
この中で落とし穴になりやすいのは、売る相手です。子どもに安く譲る、親に売るといった売り方は対象から外れます。価格を決める前に、買主が親族にならないか確かめてください。
特例を受けることだけが目的の入居、新築期間中の仮住まい、別荘のように趣味や保養のための家屋も対象外です。住宅ローン控除との関係もあります。新居で住宅ローン控除を使う予定がある方は、入居した年の2年前から3年後までの間にこの特例を使うと、住宅ローン控除を受けられない場合があると国税庁は案内しています。
控除で税金が出なくても、確定申告は省けません
国税庁は、この特例の適用を受けるには、一定の書類を添えて確定申告をすることが必要と案内しています。申告先は所轄の税務署です。控除の結果として納める税金が出ない見込みでも、控除を受ける手続きは申告で行うため、税金がかからないなら申告しなくてよいと考えて動くのは避けてください。
添える書類として国税庁のページに載っているのは、譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]です。売買契約日の前日に住民票にあった住所が売った家の所在地と違う場合は、戸籍の附票の写しなど、その家に住んでいたことを示す書類も併せて出します。
3,000万円を引いても、税額が残る場合があります
数字で確認します。以下は説明用の仮定で、西尾市の相場や当社の実績ではありません。所有期間が5年を超える長期譲渡所得で、特例の要件はすべて満たすものとします。取得費は、建物の減価償却費相当額を引いた後の額です。
項目 | ケースA | ケースB |
|---|---|---|
売却代金 | 3,800万円 | 5,200万円 |
取得費 | 1,500万円 | 1,800万円 |
譲渡費用(仲介手数料など) | 150万円 | 200万円 |
譲渡所得 | 2,150万円 | 3,200万円 |
特別控除 | 2,150万円 | 3,000万円 |
課税長期譲渡所得金額 | 0円 | 200万円 |
ケースAは、譲渡所得が3,000万円に満たないので、控除額はその金額までです。国税庁も、特別控除額は譲渡益が限度になると案内しています(No.3223)。課税される所得は残りません。
ケースBは200万円が残ります。No.3208の計算に当てはめると、所得税が200万円の15%で30万円、復興特別所得税が30万円の2.1%で6,300円、住民税が200万円の5%で10万円です。合計は140万6,300円になります。
所有期間が10年を超える場合は、さらに軽減税率の特例を重ねて受けられることがあります。No.3305は、3,000万円の特別控除の特例と軽減税率の特例は重ねて受けられると案内しています。別の要件もあるため、税務署か税理士に確認してください。
売り出す前に、日程と売る相手を決めておきます
先に決めたいのは、住まなくなった日、売る相手、引渡しの時期の3点です。住まなくなった日から期限の年末を数えて、引渡しまでの月数を逆算します。親族への売却になるなら、特例が使えない前提で手取りを考えます。
売却代金の見通しがなければ、前の表のような計算もできません。当社の査定は、取引事例を並べるだけでなく、現地を自分で調査し、調査報告書で根拠をお見せしています。住みながら売る場合の段取りは住みながら家を売る記事でまとめています。
特例が使えるかどうかと税額の判断は、税務署または税理士にご相談ください。西尾市で自宅を売る方は、住まなくなった時期と希望の売却時期を添えてご連絡いただくと、日程の確認がしやすくなります。
参考資料
- 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
- 国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」
- 国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
- 国税庁「No.3223 譲渡所得の特別控除の種類」
- 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
制度・窓口情報は2026年10月11日時点で確認しています。個別の手続きは担当窓口や専門家にご確認ください。



