売却・査定

築40年の家は、直してから売るべきか|リフォーム費用は売値に乗りません

2026/9/23 公開 石川 智士
築40年の家は、直してから売るべきか|リフォーム費用は売値に乗りません

古い家を売るとき「このままでは売れない」と言われて、リフォームを検討する方は多いと思います。ただ、かけた費用がそのまま売値に乗ることは、まずありません。2025年4月の法改正で大規模リフォームのハードルも上がりました。直す・解体する・そのまま売る、それぞれの実際を整理します。

「この状態では売れないので、リフォームしてから出しましょう」。そう言われて悩んでいる方に向けて書きます。

かけたリフォーム費用が、そのまま売値に乗ることはまずありません。200万円かけたら200万円高く売れる、とはならない。

なぜ費用が乗らないのか

理由は買主側の事情です。中古住宅を探している人は、大きく2つに分かれます。

  • すぐ住みたい層……手を入れずに住める状態を求めます。リフォーム済みは評価されますが、その分だけ予算も上がるので、そもそも価格帯で候補から外れることがあります
  • 自分で直したい層……安く買って好みに直したい人たちです。この層にとって、売主のリフォームはむしろ邪魔です。せっかく張り替えたクロスも、入れ替えたキッチンも、自分の好みでなければ剥がすことになります

つまり売主が中途半端に手を入れると、前者には物足りず、後者には余計という一番売れない状態になることがあります。「とりあえずクロスだけ張り替えておきましょう」が効くとは限らないのは、このためです。

2025年4月の法改正(4号特例の縮小)

2025年4月1日に建築基準法の改正が施行され、いわゆる「4号特例」が縮小されました。一般的な木造2階建て住宅は「新2号建築物」という区分になり、構造に関わる大規模な修繕・模様替えを行う場合、建築確認申請が必要になります。構造に関する図書の提出も必要になります。

実務への影響は単純です。費用と時間が増えます。申請の手数料、構造の検討にかかる設計費用、そして審査を待つ期間。「売る前にリフォームして、すぐ市場に出す」という計画が、思ったスケジュールで進まなくなる可能性があります。

もっとも、内装の模様替えなど構造に関わらない工事は対象外です。どこまでやるかによって扱いが変わるので、大きく手を入れるつもりなら、工事の内容を決める前に確認してください。

解体して更地にする場合

建物が古いなら壊して土地として売る、という選択肢は当然あります。実際、それが正解になる物件もあります。

ただし2つ、必ず計算に入れてください。

  1. 解体費用がかかります。木造戸建てでも数十万円から百万円単位です
  2. 更地にすると、土地の固定資産税が上がります。住宅用地の特例は「住宅が建っていること」が条件なので、解体した時点で外れます。小規模住宅用地なら課税標準が6分の1から本則に戻ります

売れるまでに時間がかかると、解体費用を払ったうえに、上がった固定資産税を払い続けることになります。売却の目処が立ってから解体する、あるいは買主が解体する前提で売るという進め方のほうが、負担は軽くなります。

なお、相続した空き家の3,000万円特別控除を使う場合、2024年の改正で買主が引き渡し後に取り壊しや耐震工事を行っても、譲渡の翌年2月15日までに完了すれば対象になりました。売主が先に解体費を負担しなくてよくなったわけで、これは実務上かなり大きい変更です。

800万円以下の物件の仲介手数料

もうひとつ、売主側に関係する制度変更があります。

2024年7月1日から、売買代金800万円以下の物件(低廉な空家等)について、仲介手数料の上限が売主・買主それぞれ30万円+消費税までに引き上げられました。

手数料が上がるのは売主にとって負担増ですが、背景を知ると見方が変わります。安い物件の仲介は、調査も書類も高額物件と同じだけ手間がかかるのに報酬が小さく、業者が扱いたがらなかった。それで流通が止まっていたのを動かすための改正です。「どこに頼んでも断られる」という状況を減らすためのものだと考えてください。

実務での結論

ここまでを踏まえて、私たちが現場でどう考えているかを書きます。

そこまでリフォーム費用をかけるなら、そのまま売ったほうがいい。現場ではそういう結論になることのほうが多いです。費用が売値に乗らず、法改正で手間も増え、しかも工事のあいだも固定資産税と管理の負担は続くからです。

ただ、これは物件によります。立地がよく、傷んでいるのが一部だけで、少額の工事で見違えるなら、手を入れる価値はあります。逆に、構造から傷んでいる家に部分的な化粧をしても、内見で分かります。

ですから順番はこうです。リフォームの見積もりを取る前に、いまの状態のまま査定を受けてください。「直さないと売れない」のか「直さなくても売れる」のかは、現地を見ないと言えません。工事の話は、その数字が出てからで間に合います。

手を入れずに手放す、という選択肢

時間も手間もかけたくない、という場合は買取があります。仲介のように買主を探す期間がなく、リフォームも解体も不要で、そのままの状態でお引き渡しいただけます。

市場価格より価格は下がります。そのうえで、「いつ売れるか分からない状態が続くこと」のコストと比べて選んでいただくものだと考えています。固定資産税、管理の手間、そして気にかかり続けること。それらが今日で終わる、という価値をどう見るかです。

築年数や傷み具合は問いません。まず状態を見せてください。

※本記事は2026年9月時点の制度に基づく一般的な説明です。建築確認の要否は工事内容によって判断が分かれますので、実際の工事の際は設計者または特定行政庁にご確認ください。

この記事を書いた人

石川 智士

株式会社JA.life 代表取締役/宅地建物取引士・空き家マイスター・2級FP技能士

愛知県西尾市の株式会社JA.life 代表取締役。宅地建物取引業免許 愛知県知事(1)第25912号。 西尾市・三河エリアを中心に、不動産の売買仲介、買取、賃貸管理、空家・空地の管理を行っています。

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