気に入った物件が見つかって、いざ事前審査を出したら通らなかった。ご相談のなかでも、かなり切実な場面です。
ここで一番よくないのが、理由が分からないまま次の銀行に出し続けることです。審査の申し込み記録は個人信用情報に残ります。短期間にいくつも申し込むと、それ自体が不利に働くことがあります。
まず理由の見当をつける。そのために自分で確認できることを書きます。
1. 他の借入。とくに「枠」
いちばん多い原因です。そして本人が忘れていることが多い。
- 自動車ローン
- カードローン・キャッシング
- スマートフォン本体の分割払い
- 奨学金
- リボ払いの残高
とくに注意したいのがカードローンの「枠」です。借りていなくても、借りられる状態そのものが借入とみなされることがあります。使っていないカードローンの契約が残っているなら、審査の前に解約しておく。これだけで結果が変わることがあります。
スマートフォンの分割払いも、立派な割賦契約です。「毎月の通信料」だと思っている方が多いのですが、審査上は借入として見られます。
2. 返済負担率
年収に対して、年間の返済額がどのくらいを占めるか。住宅ローンだけでなく、1で挙げた他の借入もすべて合算して計算されます。
基準の一例として、フラット35では総返済負担率を年収400万円未満なら30%以下、400万円以上なら35%以下としています。民間の金融機関はそれぞれ独自の基準を持っていますが、考え方は同じです。
ここで見落とされるのが、審査金利です。実際に借りる金利ではなく、それより高い金利で計算して返済負担率を見る金融機関があります。「今の金利で計算したら余裕なのに」というのは、そのためです。
3. 個人信用情報の記録
過去の支払いの記録は、信用情報機関に残っています。
- CIC……クレジットカードや割賦販売の情報
- JICC……消費者金融などの情報
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)……銀行系の情報
この3つは、どれも本人が有料で開示請求できます。落ちた理由が分からないなら、まず自分の記録を見てください。銀行は落ちた理由を教えてくれませんが、自分の情報は自分で確認できます。
よくあるのが、本人に自覚のない延滞です。引き落とし口座の残高不足でクレジットカードの支払いが遅れた、スマートフォン本体の分割代金を数か月滞納した。本人は「すぐ払ったから大丈夫」と思っていても、記録には残ります。
4. 勤続年数と雇用形態
収入の安定性を見られます。転職直後は不利になりがちです。同業種でのキャリアアップであれば評価される場合もありますが、金融機関によって扱いが分かれます。
転職と住宅の購入を両方考えているなら、どちらを先にするかで結果が変わります。決める前に一度ご相談ください。
個人事業主の方は、確定申告の内容が見られます。節税のために所得を抑えていると、その所得で審査されます。購入を考え始めたら、そこから逆算した申告の考え方が必要になります。
5. 団体信用生命保険
多くの住宅ローンは団信への加入が条件になっています。つまり健康状態の告知が必要で、持病や過去の入院歴によっては加入できず、結果としてローンが組めないことがあります。
この場合でも道はあります。加入条件を緩和したワイド団信を扱う金融機関があり、フラット35のように団信への加入を必須としない選択肢もあります。健康上の不安がある方は、最初からその前提で金融機関を選ぶべきです。
金融機関ごとの違い
「落ちた=どこでも通らない」ではありません。返済負担率の基準も、審査金利も、転職直後の扱いも、団信の条件も、金融機関ごとに違います。地方銀行、信用金庫、労働金庫、ネット銀行で審査の性格はかなり異なります。
落ちた理由に見当をつけてから、その理由に強いところへ出す。遠回りに見えて、これがいちばん早いです。
当サイトには返済シミュレーションを用意しています。借入可能額のあたりをつけるのに使ってください。そのうえで、実際にどこへ出すかはご相談いただければご一緒に考えます。
※本記事は一般的な説明です。審査基準は金融機関ごとに異なり、また同じ金融機関でも時期によって変わります。個別のご事情については金融機関または当社にご相談ください。



