不動産を買うと、売買代金のほかに、名義を自分に変える所有権移転登記の費用がかかります。その中心が登録免許税です。税率は土地と建物で違い、自分で住む家なら軽減措置もあるため、同じ物件でも条件しだいで額が大きく変わります。
この記事は、買う側が払う登録免許税を軸に、税率、計算の手順、軽減の期限、抵当権設定、登記費用の負担を順に整理します。数字は国税庁、財務省、法務局、国土交通省のページで確認しました。
不動産売買の登録免許税は、土地が1.5%、建物が2%です
国税庁の税額表によると、売買による所有権移転登記の登録免許税は次のとおりです。
登記の対象 | 本則の税率 | 売買のときの扱い |
|---|---|---|
土地 | 1000分の20(2%) | 令和11年3月31日までに登記を受けるなら1000分の15(1.5%) |
建物 | 1000分の20(2%) | 個人が住宅用家屋を取得して自己の居住の用にするなら軽減あり(後述) |
土地の1.5%は、令和8年度の税制改正で適用期限が3年延長された措置だと、国税庁のお知らせにあります。国税庁の表では、この土地の軽減に居住の条件は付いていません。
新築や未使用の建物は最初の登記が所有権の保存登記になることがあり、税率は1000分の4(住宅用家屋の軽減は1000分の1.5)です。
登録免許税の計算は、売買代金ではなく固定資産税評価額から始めます
課税標準になるのは、固定資産課税台帳に登録された価格です。財務省は、売買による土地の所有権移転登記の課税標準を固定資産税評価額と例示しています。契約した売買価格ではありません。
金額は、毎年市町村から届く固定資産課税明細書で確認します。法務局は、明細書の「価格」または「評価額」の金額を使い、「固定資産税課税標準額」とは別だと注意しています。
手順は、価格の1,000円未満を切り捨てて課税標準とし、税率をかけ、出た額の100円未満を切り捨てます。1,000円に満たなければ1,000円です。土地と建物を同じ申請書で出すときは、それぞれの額を足してから100円未満を切り捨てます。
仮の数字で計算します。個人が自分で住む中古の一戸建てで、土地の評価額が12,643,700円、建物が8,210,400円。建物は住宅の軽減の要件を満たすものとします。
項目 | 課税標準 | 税率 | 税額(端数処理の前) |
|---|---|---|---|
土地 | 12,643,000円 | 1.5% | 189,645円 |
建物(本則) | 8,210,000円 | 2% | 164,200円 |
建物(住宅の軽減) | 8,210,000円 | 0.3% | 24,630円 |
軽減を使わないと、189,645円と164,200円の合計353,845円から100円未満を切り捨てて、353,800円です。軽減を使えると、189,645円と24,630円の合計214,275円で、214,200円になります。差は139,600円です。
登録免許税の軽減税率は、土地が令和11年3月まで、住宅が令和9年3月までです
住宅用家屋の所有権移転登記は、売買や競落で取得して自己の居住の用にした個人について、令和9年3月31日までなら1000分の3です。国税庁の税額表と、国土交通省のページで同じ期限を確認できました。
条件もあります。国税庁は、床面積が50平方メートル以上であること、取得後1年以内に登記を受けることなどを挙げています。財務省は、中古住宅なら昭和57年1月1日以降に建築されたもの、または一定の耐震基準等に適合するものが対象だと書いています。
見落としやすいのは証明書です。登記の申請に市区町村の証明書を添える必要があり、登記したあとで出しても軽減は受けられません。証明書は市区町村に問い合わせると、国土交通省が案内しています。
この軽減は家屋の登記の話で、土地の税率は上の表のままです。自己の居住の用が前提なので、貸す目的で買う場合に使えるかは、先に確認が要ります。期限は税制改正で見直されるため、登記が令和9年3月に近い方は、公式ページで延長の有無を見てください。
ローンを借りると、抵当権設定の登録免許税が借入額の0.4%かかります
住宅ローンを借りると、金融機関が物件に抵当権を付けるため、所有権移転とは別に抵当権設定の登記があります。法務局によると、課税標準は債権金額(根抵当権は極度額)で、税率は1000分の4です。
住宅取得資金の借入れなど一定の場合は、令和9年3月31日までの登記に限って1000分の1に下がります。国税庁は、この軽減にも住宅用家屋の要件があると案内しています。
借入が2,380万円なら、本則で95,200円、軽減が使えれば23,800円です。例の登録免許税の合計は、軽減なしで353,800円と95,200円の449,000円、軽減ありで214,200円と23,800円の238,000円です。
売買の登記費用は、納税者と契約上の負担者を分けて確認します
所有権移転登記の費用は、登録免許税、司法書士に頼む場合の報酬、登記事項証明書などの実費に分かれます。報酬は司法書士によって異なるので、見積りを取ります。登録免許税の行は、評価額から自分で検算できます。
登録免許税を納める義務があるのは、財務省の説明では登記等を受ける者です。2人以上で受ける場合は連帯して納める義務を負います。売買で所有権移転登記を受けるのは買主なので、夫婦の共有名義で買うなら、連帯で納める立場になります。
では、売主と買主のどちらが費用を持つのか。ここは税率表では決まらず、売買契約書の条項で確認する点です。買主が負担する内容の契約書が多いようですが、物件ごとに違います。ローン分の登記費用も、金融機関の書類で確かめてください。
売主側では、ローンが残る場合に抵当権抹消の登記があります。登録免許税は不動産1個につき1,000円で、土地と建物が1個ずつなら2,000円です。手続きの順番はローンが残る家を売る記事に、登記簿の住所が今と違うときは住所変更登記の記事にまとめています。
税率と期限は、国税庁「No.7191」と法務局「登録免許税の計算」で確認できます。最終の額は、申請する登記所か司法書士に照会してください。
参考資料
- 国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」
- 国税庁「土地の売買や住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」
- 財務省「登録免許税に関する資料」
- 法務局「登録免許税の計算」
- 国土交通省「住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置」
制度・窓口情報は2026年10月13日時点で確認しています。個別の手続きは担当窓口や専門家にご確認ください。




