相続した空き家を売って3,000万円の特別控除を使うには、確定申告に「被相続人居住用家屋等確認書」を添えます。国税庁は、この確認書を、売った資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けるものと案内しています(No.3306)。税務署ではなく、家のある市町が出す書類です。
担当課も、手数料も、日数も、市町ごとに違います。岡崎市、安城市、豊橋市、刈谷市の公式ページを2026年10月12日に確認し、書いてあったことだけを並べました。控除の要件は相続空き家の3,000万円控除の記事に任せます。自宅を売るときの3,000万円控除は別の制度です。
確認書の申請先は、相続人の住所ではなく家のある市町です
相続人が遠方に住んでいても、岡崎市の家なら岡崎市に申請します。西尾市も、市内の家屋と敷地の譲渡だけを扱い、ほかの市町の物件は所在地の窓口へ問い合わせるよう案内しています。
確認書が交付されても、控除が確定するわけではありません。安城市は、最終判断は税務署が行うと注意書きに載せています。令和6年以後の譲渡では、相続人の数も確認書に記載する事項です。3人以上だと控除の上限が2,000万円になるためです。
担当課と手数料は、市町ごとに違います
市町 | 担当課(電話) | 手数料 | 受付方法 | 交付までの目安 |
|---|---|---|---|---|
岡崎市 | 都市政策部 住環境政策課 空家対策係(0564-23-6024) | 記載なし | 課へ提出。交付は郵送も可で、返信用の封筒と切手が必要 | 2週間ほど。即日発行はできない |
安城市 | 建設部 建築課 開発指導係(0566-71-2241) | 200円 | 来庁。手数料の納付があるため午後3時まで。郵送申請は対応できる場合があり、要問い合わせ | おおよそ2週間 |
豊橋市 | 建設部 建築物安全推進課(0532-51-2579) | 1通200円(引き換え時) | 窓口へ提出。郵送も可で、返信用封筒と切手を同封する | 記載なし(郵送は日数がかかると案内) |
刈谷市 | 建築課(0566-62-1021) | 記載なし | 原則は持参。やむを得ない場合は郵送も可で、110円切手を貼った返信用封筒を同封する | 通常1週間程度 |
西尾市 | 市民部 地域つながり課(市民協働 0563-65-2178、地域支援 0563-65-2107) | 記載なし | 事前相談と予約をすすめている | 記載なし |
「記載なし」は、公式ページに書かれていなかった項目です。無料という意味ではないので、窓口で確かめてください。日数も受付状況で変わります。岡崎市は確定申告の時期は窓口が混むと、刈谷市は税務署への申告期限を考えてほしいと、それぞれ早めの申請を求めています。
必要書類の骨組みは同じで、細かい扱いが分かれます
岡崎市のチェックリストは、国土交通省の通知の別表にある書類を載せたものです。豊橋市と刈谷市の一覧にも同じ項目が並びます。主なものは次のとおりです。
- 被相続人の住民票の除票の写し
- 家屋を相続した人の住民票の写し(相続人が複数なら全員分)
- 売買契約書のコピー(引渡し日と、売主が申請者であることが分かる部分)
- 家屋と敷地の登記事項証明書(相続人の数を確かめるため。相続登記が未了なら遺産分割協議書など)
- 事業、貸付け、居住に使っていないことを示す書類(電気、水道、ガスの使用中止日が分かる書類、不動産会社が空き家として出した広告など)
- 耐震基準適合証明書、または家屋を取り壊したことが分かる書類
- 被相続人が老人ホームなどに入所していた場合は、介護保険の被保険者証のコピーや入所契約書のコピーなど
違いが出るのは、たとえば住民票です。岡崎市は、相続人の住民票の写しを譲渡日以降に発行されたものと案内しています。刈谷市はコピーでも可としていますが、豊橋市の様式の確認表には「原則コピー不可」とあります。相続人が複数のとき、安城市は申請書を1人に1枚、添付書類は2人目以降ならコピーでよいとしています。
空き家だったことを示す「その他」の書類の例も、市で分かれます。岡崎市は空き家バンクへの登録が分かる書類、刈谷市は市が認める者が売却まで管理していた証明書です。
申請は、引渡しが済んでからです。準備は売る前に始められます
岡崎市は、売買契約書で確認できる引渡し日を申請書の譲渡日の欄に書くよう案内し、住民票も譲渡日以降の発行を求めています。実際には、引渡しが済んでから申請する流れです。売った年の分の確定申告は、国税庁の案内では原則として翌年の2月16日から3月15日までです(No.2020)。市の交付に1週間から2週間かかるので、そろった順に動いてください。
売る前にできることもあります。安城市は、水道や電気の停止日が分かる書類を大切に保管するよう呼びかけています。不動産会社の広告で空き家と表示されたものも、書類の一つになります。相続人の数を登記事項証明書で示せるよう、相続登記が済んでいるかも先に見ておきます。
買主が引渡し後に解体や耐震改修をする契約では、順番が変わります。国税庁によると、工事は譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに終える必要があります。市は工事の完了日が分かる書類を求めるので、申請は工事の後です。岡崎市は、この場合の申請ページを別に設けています。国土交通省は、特約がなくても確認書は出せるが、買主の協力が欠かせないため特約を確認事項にしていると説明しています。工事の期限を2月15日いっぱいに置くと、交付を待つ日数と3月15日の申告期限の間が短くなります。
売る前に、家のある市町へ聞いておくことは4つです
- どの様式を使うか(耐震基準に適合した家屋を売る、取り壊して敷地を売る、売った後に買主が工事する、で分かれる)
- 手数料と、その払い方
- 郵送で出せるか、返信用封筒に何が要るか
- 予約や事前相談が要るか
西尾市は、書類不足で再来庁になるケースが多いとして、提出前の事前相談を呼びかけています。ほかの市町も、電話してから動くほうが確実です。
控除が使えるかどうかと税額の判断は、税務署または税理士にご相談ください。売却額の見通しは、当社の査定のように、現地を自分で調査し、調査報告書で根拠を見せるやり方で出します。物件の所在地と相続した時期を整理してから、引渡しの時期を決めましょう。
参考資料
- 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
- 国税庁「No.2020 確定申告」
- 国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)」
- 岡崎市「空き家を耐震改修後に譲渡した場合に必要な申請」、「買い主が空き家を除却や耐震改修をする場合に必要な申請」、「交付に必要な書類についての注意事項」
- 安城市「空き家の譲渡所得3000万特別控除」、「チェックシート(添付書類一覧表)」
- 豊橋市「空き家の発生を抑制するための特例措置」、「別記様式1-1」
- 刈谷市「空き家の発生を抑制するための特例措置」、「添付書類一覧(様式1-1)」
- 西尾市「空き家の発生を抑制するための特例措置(3,000万円控除)」
制度・窓口情報は2026年10月12日時点で確認しています。個別の手続きは担当窓口や専門家にご確認ください。



