相続・空き家

愛知県の空き家バンクに登録する前に|豊橋市と岡崎市、安城市の違い

2026/10/15 公開 石川 智士

愛知県の空き家バンクに載せる前に、登録の入口を確認しましょう。豊橋市は市、岡崎市と安城市は宅建協会の窓口です。公式ページで確認できた3市の違いと、登録前に決めること、登録しても売れる保証がない点を整理します。

空き家を手放したいとき、「愛知県の空き家バンクに載せれば買い手が見つかるのでは」と考える方は多いようです。ただ、愛知県のポータルサイトに直接書き込めば登録できる、という作りにはなっていません。登録の入口は市町ごとに違い、豊橋市は市に申込書を出し、岡崎市は市では受け付けず、愛知県宅地建物取引業協会(以下、宅建協会)の窓口へ回ります。

この記事では、豊橋市、岡崎市、安城市の公式ページで確認できた範囲で、登録の入口の違いと、登録の前に決めておくことを整理します。登録は買い手が決まる約束ではありません。

愛知県のポータルは物件を載せる場所で、登録の入口は市町ごとに別です

愛知県は関連リンクのページで、「愛知県空き家・空き地バンクポータルサイト」を、宅建協会の提携自治体や公的団体、協会認定の空き家マイスター登録業者が提供した空き家、空き地、中古住宅の情報を載せるサイトと説明しています。県が登録を受け付けるとは書かれていません。

県の「市町村の支援制度(空き家)」は市町村ごとのリンク集です。県は「詳細に関しましては、各市町村へお問合せください」と断っています。リンク先もそろっておらず、岡崎市と安城市は宅建協会が関わるポータル、豊橋市は市のページです。

登録の入口は、豊橋市が市、岡崎市と安城市は宅建協会の窓口です

3市の公式ページの記載を並べました。載っていない項目は「記載なし」です。

市

登録の入口

対象として書かれていること

契約・媒介の扱い

豊橋市

市の建築物安全推進課(0532-51-2561)に登録申込書と登録カードを出す。現地調査は市か媒介業者

個人が現に居住していない(近く居住しなくなる予定を含む)市内の居住用・事業用の建物と敷地。賃貸・分譲目的の新築は除く

市は売買や賃貸の交渉と契約に関与しない。媒介業者を使うと宅地建物取引業法に基づく媒介手数料がかかる

岡崎市

市の住環境政策課では受け付けず、宅建協会の空き家総合相談窓口(052-522-2567)へ。あいち電子申請・届出システムでも受け付ける

相続で引き継がれたが使われていない空き家、権利関係が複雑で通常の流通が難しい空き家。市が所有者に呼びかけ、同意を得て公開する

記載なし

安城市

市のページは、宅建協会の空き家総合相談窓口(052-522-2567)と安城市空き家バンクポータルサイトを案内している

記載なし

記載なし

豊橋市は市が登録を受けて調査し、媒介を頼むなら協会の会員業者へ回る流れで、要綱が媒介の協定まで定めています。岡崎市と安城市は、市ではなく宅建協会の電話窓口が入口です。国土交通省の「空き家・空き地バンク導入のポイント集」は、空き家バンクでは売買や賃貸の仲介を中心に宅建業者との連携が必須だと説明しています。西尾市は空き家バンクと不動産会社の違いに書きました。

豊橋市の要綱は、登録しない場合まで具体的に書いています

豊橋市の空家情報登録制度設置要綱は、調査して適切と認めたときに登録すると定め、次のような空家は登録しないとしています。

  • 市街化調整区域で、用途変更などの許可の見込みがない場合
  • 差押えを受けている場合
  • 老朽化が著しい場合、または大規模な改修が必要な場合
  • そのほか、市長が登録に適当でないと認めた場合

「バンクなら古い家も載せてもらえる」とは限りません。調整区域は市街化調整区域の土地を売るに書きました。

要綱は、空家の所有権などに異動があったときは登録を抹消するとも定めています。申し込める所有者等は、空家の売買や賃貸を行う権利を有する者とされていますが、名義が亡くなった方のままの場合の扱いは書かれていません。窓口で確認し、期限は相続登記の義務化で見ておいてください。

登録する利点もあります。市の空家バンクのページでは、空家利活用改修費補助金の対象物件の条件に「空家バンクに登録された物件であること」が入っています。一般世帯は対象経費の2分の1、限度額50万円で、契約の成立などほかの条件もあります。

岡崎市と安城市は、まず宅建協会の相談窓口に電話します

岡崎市の「空き家の活用」は、バンクの対象を、相続で引き継いだまま使われていない空き家や、権利関係が複雑で通常の流通が難しい空き家と書いています。ふつうに売れる家なら、先に通常の売却の見込みを査定で確かめるべきだと考えます。バンクを、通常の流通に乗りにくい家の受け皿として位置づけている市があるからです。

安城市の空き家の相談窓口のページは、令和6年5月に市と宅建協会が空き家対策の協定を結んだと書いています。登録の条件や申込書類は、このページにも市の冊子「空き家のいろは」にも載っていません。冊子は、売却は不動産業者への仲介依頼が一般的で、まず空き家総合相談窓口へ、と案内しています。市の公式ページだけでは、登録できるかどうかの判断はつきません。

登録の前に決める3つのことと、売れる保証がない点

  • 売る権利を持つ人を確定する。名義と、共有者の意向をそろえます。
  • 公開する情報の範囲を決める。国交省のポイント集は、公開や宅建業者との共有に所有者の承諾が要り、番地などをどこまで出してよいかも確認するとしています。
  • 売るのか貸すのか、媒介を頼むのか自分で交渉するのか。豊橋市は、媒介業者を市に紹介してもらう形も、当事者間の直接交渉も認めています。

国の全国版バンクに載せるには売りたい方の同意が必要だと、国土交通省の総合情報ページにあります。参加の有無は窓口で聞いてください。

登録すれば売れる、とは言えません。愛知県の2025年2月の会議資料は、市町村アンケートで「空き家所有者と利活用希望者とのマッチングが困難」が課題に挙がったとまとめています。豊橋市の要綱は、空家バンク以外の方法による取引を妨げないとも明記しています。バンクに出しながら通常の売却もできるかは、契約の種類で変わります。違いは媒介契約の3種類にまとめました。

改修や解体の補助も市町ごとに違います。国の空き家対策総合支援事業は資料に「市区町村向け」とあり、使えるかは市町が制度を設けているかによります。バンク、通常の売却、賃貸、持ち続けるを並べる考え方は空き家を貸すか、売るか、持ち続けるかに書きました。

参考資料

制度・窓口情報は2026年10月12日時点で確認しています。個別の手続きは担当窓口や専門家にご確認ください。

この記事を書いた人

石川 智士

株式会社JA.life 代表取締役/宅地建物取引士・空き家マイスター・2級FP技能士

愛知県西尾市の株式会社JA.life 代表取締役。宅地建物取引業免許 愛知県知事(1)第25912号。 西尾市・三河エリアを中心に、不動産の売買仲介、買取、賃貸管理、空家・空地の管理を行っています。

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