売却・査定

不動産の仲介手数料の上限と計算|売主と買主の負担、無料の意味

2026/10/26 公開 石川 智士

不動産の仲介手数料の上限は、国土交通省の告示にある割合で自分でも計算できます。売主と買主それぞれの負担、支払う時期、金額を契約前に確認する方法、手数料が無料と書かれていたときの注意点まで順に整理します。

不動産を売る、あるいは買うときに不動産会社へ払う仲介手数料は、いくらまでなら妥当なのか。調べると上限や計算の話が並びますが、上限額は国土交通省が示す式で自分でも出せます。

この記事では、上限の出し方、売主と買主それぞれの負担、支払う時期、無料と書かれていたときの確認点を順に整理します。数字は告示上の上限の計算例で、特定の会社の料金ではありません。

仲介手数料の上限は、法律と告示で決まっています

宅地建物取引業法は、不動産会社が売買の媒介で受け取る報酬の額を国土交通大臣の定めるところによるとし、その額を超えて受け取ってはならないと定めています(e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」第46条)。具体的な額は、国土交通省の告示で決められています。

国土交通省は消費者向けのページで、依頼者の一方(売主または買主)から受け取れる仲介手数料は、物件価格に応じた料率を掛けて合計した金額以内と案内しています。同じ法の第46条は、この額を事務所ごとに見やすい場所へ掲示することも不動産会社に求めています。見積書の額に迷ったら、掲示と見比べられます。

仲介手数料の計算は、代金を3つに区切って割合を掛けます

告示(令和6年7月1日施行の改正を含む最新版)の割合は、消費税等相当額を含んだ数字です。計算の元になる売買代金は、消費税等相当額を含まない額を使います。

売買代金のうち

掛ける割合(税込)

200万円以下の部分

5.5%

200万円超〜400万円以下の部分

4.4%

400万円超の部分

3.3%

たとえば代金2,500万円なら、200万円×5.5%=11万円、200万円×4.4%=8.8万円、残る2,100万円×3.3%=69.3万円で、合計89.1万円が上限になります。

400万円を超える取引は、速算式でも出せます。代金×3.3%+6.6万円(税込)です。6.6万円は、割合の差(200万円×2.2%と200万円×1.1%)を足したものです。税抜の表記なら「3%+6万円に消費税を加えた額」と同じになります。なお、国土交通省のページに速算式の記載はなく、ここは告示の割合から導いた計算です。

売買代金(税抜)

上限の目安(税込・依頼者の一方から)

1,500万円

56.1万円

2,500万円

89.1万円

3,500万円

122.1万円

消費税の納税義務が免除されている事業者には、告示で別の計算が定められています。消費税の扱いは、依頼前に聞いておきましょう。代金が800万円以下の宅地・建物には別の特例があり、こちらは安い空き家の仲介手数料の記事で扱っています。

仲介手数料は売主と買主の両方から受け取れますが、上限は依頼者ごとです

告示は、上限を「依頼者の一方につき」と定めています。売主から売却を頼まれた会社は売主から、買主から購入を頼まれた会社は買主から、それぞれ上限の範囲内で受け取ります。同じ会社が売主と買主の双方から依頼を受けた場合も、依頼者それぞれに上限があり、2,500万円の取引ならそれぞれ89.1万円までです。業界では、双方から受け取る形を両手と呼ぶことがあります。

売主が払う手数料は、売主として媒介契約を結んだ会社の分です。売主と買主が別々の会社に頼んでいるなら、売主は自分の会社に、買主は買主の会社に払う、という整理になります。どの会社の依頼者なのか、いくらなのかは、媒介契約書で確認できます。

仲介手数料をいつ払うかは、媒介契約書の「受領の時期」で決まります

支払いの目安は、国土交通省の資料で見つかりませんでした。確認できたのは、標準媒介契約約款の次の内容です。

  • 媒介で売買契約が成立したとき、不動産会社は報酬を請求できる
  • 契約の当事者へ宅地建物取引業法第37条の書面を交付した後でなければ、約定報酬を受け取れない
  • 受け取る時期は、契約書の「約定報酬の受領の時期」の欄に書く
  • 住宅ローンが通らず契約が解除になった場合は、受け取った報酬を全額返す(融資の不成立が解除の条件になっている契約の場合)

成約時と決済時に分けるのか、決済時にまとめるのかは、契約書の内容によります。署名する前に、いつ、いくらを払うのかを読んでください。

上限は決まった額ではなく、金額は契約前に確認できます

告示が定めているのは「以内」という上限です。標準媒介契約約款は、報酬の額を告示の限度額の範囲内で、依頼者と不動産会社が協議して定めるとしています。国土交通省も、媒介契約の際に上限の範囲内で額をあらかじめ合意することが重要と案内しています。

公式の資料に、値引きに応じるかどうかの記載はありません。応じてもらえるとは限りませんが、額の根拠は媒介契約を結ぶ前に聞けます。見積書の額が上限とぴったり同じなら、その理由は一度聞いてよいと私は考えます。比べるときは、広告の範囲や報告の頻度も同じ条件にそろえましょう。媒介契約の種類による違いは、媒介契約3種類の記事にあります。

仲介手数料が無料と書かれていたら、手数料以外の費用と条件を見ます

国土交通省のページや告示に、「無料」の仕組みを説明した記載は見つかりませんでした。告示が決めているのは上限だけで、無料の条件は会社ごとに異なります。売主か買主の一方だけが無料なのか、特定の条件を満たしたときだけなのか、形はさまざまです。

  • 無料になる条件(売主だけか、買主だけか、物件や価格の範囲)
  • 手数料以外に請求される費用(広告、測量、登記などの名目と金額)
  • 見積書に仲介手数料の欄があるか、0円と書かれているか
  • 媒介による売却なのか、会社が直接買い取る取引なのか

告示は、定めた報酬のほかに報酬を受け取れないとしたうえで、依頼者の依頼で行う広告の料金は別としています。標準媒介契約約款でも、特別に頼んだ広告の料金や遠隔地への出張旅費は依頼者の負担です。私なら、無料の一言では選ばず、総額で比べます。何が自分の依頼による費用なのかは、契約前に書面で確認してください。会社が直接買い取る場合の違いは、買取と仲介の比較の記事で整理しています。

参考資料

制度・窓口情報は2026年10月13日時点で確認しています。個別の手続きは担当窓口や専門家にご確認ください。

この記事を書いた人

石川 智士

株式会社JA.life 代表取締役/宅地建物取引士・空き家マイスター・2級FP技能士

愛知県西尾市の株式会社JA.life 代表取締役。宅地建物取引業免許 愛知県知事(1)第25912号。 西尾市・三河エリアを中心に、不動産の売買仲介、買取、賃貸管理、空家・空地の管理を行っています。

会社概要を見る →

この記事に関連する物件

すべて見る

続けて読む

「売却・査定」の記事はひと続きの内容です。あわせて読むと判断しやすくなります。