離婚に伴って家を売ることになると、話し合いの前に確かめることが一度に増えます。順番を誤ると、売却価格が決まった後に「ローンを返しきれない」「控除の期限が過ぎていた」と気づくことになります。
この記事は、愛知県・三河エリアで離婚に伴う家の売却を考えている方に向けて、確認の順番を並べたものです。個別の判断は弁護士、税理士、家庭裁判所、金融機関に委ねる部分が大きいため、公式の案内で確かめられた範囲だけを書きます。
離婚でペアローンが残るときも、家の名義とローンの名義を分けて確認します
最初に見るのは二つの名義です。家と土地は登記事項証明書で、住宅ローンは借入先の契約書で確かめます。二つは一致しているとは限らず、家が一方の単独名義でも、ローンは二人で負っている場合があります。
- 単独:借主が1人
- 連帯債務:一つの借入れを2人で負う
- ペアローン:2人がそれぞれ自分の名前で別々に借りる
離婚をしても、登記の名義やローンの契約は自動では変わりません。借入れの名義を変えたり、一方が外れたりするには、金融機関の承諾が必要になる場合があります。応じるかどうかは借入先に直接聞くしかありません。
共有名義の家は、全体を売るには原則として共有者全員の協力が要ります。基本は兄弟の共有名義の記事にあります。名字や住所が変わった方は、登記の氏名・住所が現在と合うかを住所変更登記の記事で確かめましょう。
離婚で家の売却がオーバーローンになるときは、足りない額を先に出します
オーバーローンとは、売れそうな金額より住宅ローンの残高のほうが大きい状態です。返しきれない分は、自己資金などで補えるかを確認します。残高の調べ方や抵当権の抹消はローンが残る家の売却の記事に任せ、ここでは離婚で増える論点だけを挙げます。
仮に見込み額が2,800万円、ローン残高が3,100万円なら、300万円の不足です。仲介手数料などの費用は別にかかります。説明用の仮定で、相場や当社の実績ではありません。
離婚では、借入先に対する返済の責任と、夫婦のあいだで不足分を分ける取り決めが別の話になります。前者は契約書の名義で決まり、後者は話し合いや、弁護士・家庭裁判所の手続きで扱う部分です。
当社の査定は、取引事例を並べるだけでなく、現地を自分で調査し、調査報告書で根拠をお見せしています。
財産分与で家を扱うなら、売って分ける方法と家を渡す方法を分けます
民法第768条は、協議上の離婚をした一方が、相手方に財産の分与を請求できると定めています(e-Gov法令検索「民法」)。話し合いがまとまらないときは家庭裁判所に協議に代わる処分を請求できますが、離婚から5年を経過するとできません。
裁判所の案内によると、2026年4月1日より前に離婚した場合は2年です。離婚の前なら、夫婦関係調整調停(離婚)の中で財産分与を話し合うこともできます。分与の額や方法は、婚姻中の財産の額や各自の寄与の程度などを考慮して判断されるため、割合は書きません。
方法 | 国税庁の案内 |
|---|---|
家を売って、代金を分ける | 売った人の譲渡所得として計算する。共有なら持分に応じて各人が計算する |
家そのものを相手に渡す | 渡した人に譲渡所得の課税が行われる。時価が収入金額になり、受けた人は分与を受けた日にその時価で取得したことになる |
売っていなくても、家を渡すと譲渡所得の計算の対象になります(国税庁No.3114)。もらった側の贈与税は通常かかりませんが、分与された額が多過ぎる場合などは課税されます(No.4414)。
離婚後に家を売る税金は、3,000万円控除の期限から逆算します
家を売って利益が出ると、譲渡所得として税金の対象になります。利益は売却代金から取得費と譲渡費用を引いて計算し、ローン残高は引きません(No.3208)。オーバーローンの家でも、税金は取得費と比べた利益の有無で見ます。
居住用の家には、譲渡所得から最高3,000万円を引ける特例があります。離婚で家を出た側に関わるのは、以前に住んでいた家の扱いです。国税庁のNo.3302では、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合が対象で、その間どのような用途に使ってもかまいません。2026年に家を出たなら、期限は2029年12月31日です。
- 売る相手が夫婦など「特別の関係がある人」でないこと。配偶者に売る形は、税務署で確認します
- 共有の家は、特例を受けられるかを共有者ごとに判定し、控除は1人につき最高3,000万円。申告も一人ずつ行う(No.3308)
財産分与で家を渡す場合や、元配偶者が住み続ける家を出た側が売る場合にこの控除が使えるかは、これらのページに書かれていません。売り出す前に税務署か税理士に聞いてください。
売却価格がローン残高を下回る場合の特例もあります。国税庁は、2027年12月31日までに住宅ローンのあるマイホームを残高より低く売って損失が出たとき、要件を満たせば他の所得との損益通算と翌年以後3年間の繰越控除ができると案内しています(No.3390)。
売る時期は、離婚の前か後かより先に、三つの日付を並べて決めます
- 財産分与の請求は、離婚から5年を過ぎるとできない
- 3,000万円控除は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日まで
- 分与で家を受け取った人が後で売るときは、分与を受けた日が取得日になり、長期か短期かはそこから判定する(No.3114)
離婚の前に売るか後に売るかで、どちらが得とは言い切れません。先に決めておくのは、ローンを返した後に残る額の分け方と、足りないときの負担です。売買契約より前に取り決めておくと、後の調整が少なくなります。内容は弁護士に相談してください。
愛知県・三河エリアで離婚に伴う売却を考えている方は、名義、借入れの形、残高が分かる資料と一緒に、物件の所在地をご連絡ください。
参考資料
- e-Gov法令検索「民法」
- 裁判所「財産分与請求調停」
- 国税庁「No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき」
- 国税庁「No.4414 離婚して財産をもらったとき」
- 国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」
- 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
- 国税庁「No.3308 共有のマイホームを売ったとき」
- 国税庁「No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき」
制度・窓口情報は2026年10月13日時点で確認しています。個別の手続きは担当窓口や専門家にご確認ください。



