家を売ろうと思ったとき、最初に知りたいのは、何から始めて、どの順番で手続きが進むのかではないでしょうか。不動産売却の流れは、査定、媒介契約、販売活動、売買契約、決済と引渡し、売却後の確定申告の6つに分けると追いやすくなります。
この記事では、国土交通省の取引の流れの図を軸に、全体の地図を作ります。期間は、公的な資料に数字がある部分だけを書きました。ローンが残る家、住みながらの売却、手数料などの各論は、既存の記事に送ります。
不動産売却の手続きの流れは、6つの順番で進みます
国土交通省は、仲介による売買の流れ(例)を図にしています。区切りは、売却申し込み、契約、引き渡しの3つです。売却申し込みには売却価格査定、媒介契約の締結、指定流通機構(レインズ)への登録が、契約には重要事項説明と売買契約の締結が、引き渡しには残金決済、物件の引渡し、登記手続きが並びます。ページには、あくまで例であり、実際の流れは仲介する不動産業者に確認するよう書かれています。
順番 | 売主がすること | 国の図での位置 |
|---|---|---|
1 査定 | 査定額の根拠を聞く(査定書の見方) | 売却価格査定 |
2 媒介契約 | 依頼する会社と契約の種類を決める(媒介契約3種) | 媒介契約の締結、レインズへの登録 |
3 販売活動 | 内覧に対応し、反響を聞いて価格を相談する | 図には書かれていない期間 |
4 売買契約 | 買主と価格や引渡し日を決めて契約する | 重要事項説明、売買契約の締結 |
5 決済・引渡し | 残金を受け取り、物件を引き渡す | 残金決済、物件の引渡し、登記手続き |
6 確定申告 | 売った翌年に、申告が要るか確認する | 図の外(国税庁の手続き) |
順番2の媒介契約を結ぶ時点で、仲介手数料を上限の範囲内で合意しておくことが重要だと、国土交通省は案内しています。金額の見方は仲介手数料と費用の確認にまとめました。重要事項説明を受けるのは、同じページでは買主や借主として書かれています。
不動産売却の期間は、全体の目安が国の資料にありません
流れと一緒に期間を調べる方は多いのですが、売り出しから引渡しまで何か月かかるかという数字は、今回確認した国土交通省、法務省、国税庁のページには見当たりませんでした。物件により異なる、というのが正直なところです。買主の住宅ローンの審査や、売主側の書類の状態でも変わります。何か月と言い切ってほしい気持ちは分かりますが、出典のない数字は書きません。
公的な資料で期間がはっきりしているのは、次の3つです。
- 専任媒介と専属専任媒介の有効期間は3か月を超えられません(宅地建物取引業法第34条の2)。売れるまでの期間ではなく、その会社に任せる契約の期間です
- 抵当権の抹消に必要な書類を金融機関から受け取ったら、できるだけ速やかに法務局へ申請することを、法務省が勧めています
- 確定申告は、原則として翌年の2月16日から3月15日です
売主が動かせるのは準備のほうです。ローンの残高、登記上の住所、境界、残された荷物は、売り出す前に分かっていれば決済日を組みやすくなります。土地の境界や残置物は、それぞれ別の記事で扱っています。
決済の流れは、残金決済、引渡し、登記手続きの順です
国土交通省の図では、引き渡しの段階が、物件の最終確認、残金決済、物件の引渡し、登記手続き、引越し・入居の順に並んでいます。登記手続きは引渡しのあとに置かれています。
売主の立場で読むと、最終確認、残金の受取り、物件の引渡しという並びで、最終確認では設備や荷物の状態を買主と確かめることになります。当日の細かな進め方は取引ごとに違うので、仲介する会社に前もって聞いておきます。引越し・入居は買主側の動きです。住みながら売る場合の退去日の考え方は住みながら売る記事を見てください。
買主が住宅ローンを使うときは、図の契約の段階に、住宅ローン契約の締結が入っています。決済日は、その手続きとの兼ね合いで決まります。
ローン返済の流れは、完済と抵当権抹消の2つに分かれます
売る家にローンが残っていて、売却代金などで完済する場合の順番です。完済額の確認や費用の並べ方はローンが残る家の売却に書いたので、ここでは手続きの順だけを挙げます。
- 金融機関に、完済できる日と必要な金額を確認する
- 完済すると、抵当権の抹消に使う書類が金融機関から届く(登記識別情報、解除証書や弁済証書、委任状など)
- 登記申請書を作り、登録免許税の収入印紙を付ける。不動産1個につき1,000円で、土地と建物なら2,000円
- 法務局の窓口に持参するか、郵送で申請する
申請書は自分で作る必要があり、法務局は代わりに作成しません。難しければ司法書士や弁護士に相談できると、法務省民事局の手続案内にあります。
注意したいのは、登記簿の所有者の住所や氏名が現在と違う場合です。抵当権抹消の前に、その変更登記が別に必要になると、法務局は案内しています。引っ越しの履歴がある方は、住所変更登記の記事で先に確認してください。
売却後の確定申告は、翌年2月16日から3月15日が原則です
土地や建物を売った利益は、売った金額から取得費と譲渡費用を引いて計算します。国税庁は、仲介手数料や売買契約書の印紙代を譲渡費用の例に挙げています。申告の期間は、国税庁の確定申告の案内で、原則として売った年の翌年の2月16日から3月15日です。
3,000万円の特別控除のような特例を受けるには、一定の書類を添えて確定申告をすることが必要だと、国税庁は案内しています。申告が要るかどうかは、利益の有無と、特例を使うかで変わります。判断は、税務署か税理士に確認してください。
計算の考え方は相続した家の手取りに、相続した空き家の特例は相続空き家の3,000万円控除にあります。買ったときの契約書や領収書は、売る前に探しておくと後が楽です。
参考資料
- 国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
- 法務省民事局「抵当権の登記の抹消」手続案内(令和6年4月版)
- 法務局「住宅ローン等を完済した」
- 国税庁「No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
- 国税庁「No.2020 確定申告」
- 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
制度・窓口情報は2026年10月13日時点で確認しています。個別の手続きは担当窓口や専門家にご確認ください。



